クリーニングについて

自分の歯を守るために

歯のクリーニングはなぜ必要なのか

1番単純な答えは、ご自身の再生しない組織を守っていただくためです。歯・歯槽骨など、お口の中には再生しないものが存在します。
現在、歯を喪失しても入れ歯・ブリッジ・インプラントといった治療、骨などを再生させる再生治療などもあります。もちろんそういった治療により改善することができる場合もあります。

例えば、入れ歯=義歯。足を失った人の義足と治療内容としては同じです。人工的に補います。ですので、噛み心地・噛む力・味覚・感覚など全く変わります。リハビリが必要です。合わせていくことが必要です。
インプラント、義歯より噛む力は発揮できます。ただ歯周病が進行してしまえば維持できません。ですので、骨がなければ埋入できません。歯根膜の再生はできませんので、ご自身の歯との噛み心地は変わります。
歯槽骨、再生治療で再生させることは可能になってきています。しかし全く骨がないところに簡単には再生できません。骨の壁が残っているなどの適応があり手術を要します。

私たちは、常にその現状と向き合っています。より噛みやすい、より目立たない、よりきれいに見えるようにしたいなど、たくさんの要望がある中1つだけ叶える治療は簡単だったりもします。
しかしながら、何か1つ失ってしまうと全てを1度に叶える事はとても大変になります。逆にいえば、それだけご自身の歯や骨はすべての役割を果たしているのです。ですので、歯のクリーニングはとても大切なのです。

クリーニングを受ける頻度はどのくらいが良いか

クリーニングの頻度も定期健診同様に患者さんの口腔環境、生活環境によって変わってきます。
しかし長期に間隔があかない方がいいと思います。治療の前段階のクリーニングであれば1~2週間が望ましい場合がほとんどです。

それは、歯周組織の回復により異なりますが、現状を把握、お話しやすいからです。

例えば、歯肉の発赤、腫脹の回復、継続、頑張りすぎた歯ブラシによる擦過傷など、長期にわたると変化がわかりにくくなったり、新たな問題になってしまったりするからです。
患者さんの日常生活の中での意識も失われてしまい、ふりだしに戻ってしまっては、きっかけが何にせよ無駄になってしまいます。

しかしながら、仕事の都合、家庭の都合により来院できないこともあるかとおもいますので、なるべくいらっしゃれる時にはしっかりとクリーニングにいらして頂き、ご自身の現状把握も含め知識や意識を高めていただければと思います。

歯茎の検査の概要

歯茎の検査、いわゆる歯周病の検査になります。歯周病は歯周組織の喪失によって進行します。
検査としては、視診・歯周ポケットの測定・レントゲン・歯の動揺・痛みの有無などがあります。

クリーニングの流れ

1、ハイリスク部のチェック

クリーニングの一般的な流れですがまずハイリスク部のチェックです。
定期的に歯茎の検査を行い、歯周病の状態や進行度をチェックします。

また修復物と歯との隙間インプラント部などがハイリスク部になってきますのでチェックします。

2、バイオフィルムの除去

続いてディプラーキングです。
ディプラーキングはプラークや歯石などバイオフィルムの除去です。

【 バイオフィルムって何? 】

バイオフィルムは細菌同士が結合し集合体を形成したものです。お風呂場や洗面台のヌルっとしたものがわかりやすいです。
プラークや歯石はバイオフィルムの一種です。

歯と歯茎の隙間いわゆる歯周ポケットとよばれる箇所に歯石、プラークがたまりそれを放置すると歯周病になります。
ですからこれは歯周病の予防に非常に大切です。

3、プラーク・歯石除去

プラークはブラシで除去、歯石はスケーリングで除去します。

  • 歯石は硬く歯にこびりついていますのでスケーラーとよばれる専用の器具で機械的に除去します。
    手用のものと超音波を使用したものがあります。歯石の付着の具合などで使い分けます。
    まず大きな歯石から除去を行います。その後細かい歯石を除去しざらつきをなめらかにします。

歯並びが良い人は普通のブラシだけでもメインテナンス出来ますがインプラントが入っていたり、
清掃しにくい部分には歯間ブラシやフロス等の補助器具を使用します。

4、PMTC

PMTCは専用の研磨ペーストをつけて、表面、歯間部を磨きあげます。

磨くことによって歯の性状がツルツルしますので、その状態をキープ出来ます。プラーク(細菌の塊)はざらついてるとこに付着しますので、汚れがつきにくい環境作りをしていきます。

ご希望であれば最後にフッ素の塗布を行います。

フッ素は歯の再石灰化の促進、歯の強化、抗菌作用の効果がありますので虫歯の予防に役立ちます。

治療に伴うリスク

一次的に知覚過敏が起こることがあります。

歯ブラシ・フロス・歯間ブラシの使い方

基本は歯ブラシによるブラッシングですが、歯並び、年齢、歯周病の進行度、治療状況などにより歯ブラシのみでの清掃は不可能なことが多くあります。
歯ブラシ1つをとっても磨き方・当て方には数多くあります。

フロス・歯間ブラシなどといった補助的清掃用具もメーカーによる形やサイズの違いもあります。
またそれ以外の補助的清掃用具もあります。選択をご自身ですることが難しいのも現状です。

ですので当医院でのクリーニングの際には今使用している物を教えていただいたり、持ってきていただければと思います。さまざまな物を使用するのも大変になりますので、なるべくご自身にあった物、使い方をお話しし習得していただければと思います。

保険と自費の歯のクリーニングの違い

保険に関しては国で決められた順序と方法でクリーニングを行います。歯周病検査を行い、スケーリング、再評価を行います。
再評価の結果まだ歯周ポケットが残っている部分にはSRPといって歯周ポケットの中の歯石を除去します。次に再評価2回目を行い、まだ歯周ポケットが残っている部分に関しては歯周外科といって歯茎を開いてみえる状態にして歯石を除去する方法を行っていくかもしくはSPTといってその状態をできる限り維持するメンテナンスに移行していくかです。

保険でのクリーニングは歯石除去、歯周病に関しての治療、予防が主体となってきます。それに対して自費は国が決めた制限なく行うことができるので他の治療オプションを付属で行うことができます。

*当院はかかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所として厚生労働省より認可を受けました。そのため月一回のメンテナンスも保険診療で行えるようになりました。

保険と自費の歯のクリーニングの内容

自費診療ではより充実したメンテナンスとクリーニングを行うべく保険では行えない部分をプラスして以下の内容を患者さんと相談して自費診療で行っております。

①唾液検査

唾液検査することにより虫歯菌の数・酸性度・緩衝能などお口の状態を客観的に評価できるので現在の口腔内環境がどのような状態かチェックしてメンテナンスの頻度や方法などを相談できます。

②ポケット内洗浄

歯石などスケーラーによる機械的除去とパウダーの使用によりインプラントの表面などスケーラーでは除去しにくい部分やより細かい部分の洗浄ができます。パウダーの使用により侵襲度は低いです。

③徹底した着色除去

タバコのヤニやコーヒー・ワイン・お茶等着色物を好んで摂取すると歯にステイン(着色)がつきます。この着色は強固に付着しているとなかなか除去できません。
当院ではスケーラーやポリッシングと共にエアーフローによって除去することもおすすめしています。併用することにより除去効果は格段と高くなります。

④ガムマッサージ、唾液腺マッサージ

ガムマッサージは歯肉をマッサージすることにより血行がよくなり、免疫力を高めることが狙いです。ただこれをやっていれば歯周病にならないかというとそうではないのでスケーリングなど細菌のコントロールとあわせて行うことをおすすめしています。唾液腺マッサージも同じで、マッサージすることにより唾液の分泌を促し、免疫力の向上と口腔乾燥の予防を期待します。